江戸時代から続く、日本の伝統話芸といえば「落語」。深い知識が必要で、ちょっと敷居が高い……かつてはそんなイメージもあった落語ですが、最近では気鋭の噺家の活躍や、落語をテーマにしたアニメやマンガ作品の大ヒットもあり、若い世代を中心に「これから落語を聞いてみたい」という方も増えています。
ここでは、そんな落語を思う存分楽しむために、知っておきたい「落語のキホン」をまとめました。初めての方も、もっと落語を知りたいあなたも必見です!

噺家の所作を楽しむ 知っておきたい!落語のキホン

落語といえば、蕎麦をすすったり、、描く人物によって表情ががらりと変わったり…講座の上での噺家の所作も見どころの一つです。ここでは、状況・人物描写の所作の一部を、柳家さん喬師匠にご協力いただき、紹介します。

目上の人は観客席から向かって左(下手といいます)に話しかけます。対して目下の人は右側(上手といいます)に向かって話します。これを「上下(かみしも)を切る」といい、落語の所作の基本です。

蕎麦を食べる

割り箸を割って…

ズズ〜ッ

うめーね〜っ!

ここらで煙草を一服

煙管に煙草を詰めて

火をつけて一服…

(ポンッ)火種を煙草盆に捨てる

他にも、酒を飲んだり、船の櫓を漕いだり、お勘定を払ったり…様々な状況・人物描写を、扇子と手拭だけで無限に描き出すのが、落語家の手腕です。

「どこでも落語プレーヤー 東京落語会傑作選」付録「どこでも落語ハンドブック」より一部抜粋。
撮影©HARUKI

落語の成り立ちって? 知っておきたい!落語のキホン

落語の原型は、元禄期(17世紀末〜18世紀初め)に上方(京・大坂※江戸時代「阪」は土偏で表記されていました)と江戸で、ほぼ同時に成立したといわれています。上方では町の辻(十字路・四つ辻)や自社の境内で催されたので「辻噺」、江戸では屋敷・料理屋などの座敷で催されたので「座敷噺」と呼ばれました。

江戸では、当初文化人たちが、噺を集め、語り、聴く集まりが設けられ、それがやがて「寄せ場」と呼ばれて人気となり、天保期(19世紀前半)には、木戸銭(入場料)を取って客を集める寄席が成立し、現在につながる寄席文化が花開きます。話を語るプロ=噺家(落語家)が登場するのもその頃です。
幕末(19世紀後半)、江戸の寄席数は170軒以上あったとされ、落語は庶民の娯楽として人気を博していました。ちなみに、意外に思われるかもしれませんが、「らくご」という呼称が定着したのは明治に入ってからのことです。そして同時に、人間の心情の機微を描いた人情噺なども、「落語」という一つのジャンルにくくられることとなりました。

古典落語と新作落語の違いとは? 知っておきたい!落語のキホン

落語の演目は、大きく「古典落語」と「新作落語」の2つに分けられます。では、その違いはなんでしょう?
一般的には、江戸〜明治時代に作られた噺が古典落語、大正時代以降に作られた噺が新作落語とされているようですが、他にも以下のような定義があります。

【古典落語】
古典落語の数は約800ともいわれています。現在高座に掛けられているのは、その内の300〜400席程度です。これらは、作られたときには当然新作でしたが、ほとんどが作者不明です。
江戸時代から現代までの長い年月をかけて、数えきれない噺家たちが練りに練り、磨き上げ選び抜いて伝えられたのが“古典”落語なのです。(「古典落語」という呼び方が定着したのは、昭和30年代といわれています)。

【新作落語】
新作落語は作者が明確です。古典落語は、すべての噺家が持ちネタとして話すことができますが、新作落語はオリジナル作品として、作った噺家が話すケースがほとんどです。ただし、上方の四代目桂米團治が、昭和14年(1939)に発表した「代書屋」が、現在は、上方・東京双方で広く演じられているというケースをはじめ、さまざまな“新作”に挑む噺家が登場していることも事実です。
ジャンルは、時代時代の世相を反映したネタから、SFやファンタジー作品まで、その守備範囲は無限です(舞台を江戸・明治に設定した“新作”もあります)。

噺家になる道 知っておきたい!落語のキホン

噺家になる条件はたった一つ。自分が惚れ込んだ師匠に弟子入りすること。それだけです。
ただし東京には、「真打制度」があり、入門後にはいくつもの関門を乗り越え、昇進を目指していくことになります。

<見習い>
師匠の世話や家事などをしながら噺家の基礎の基礎を学ぶ。
<前座>
師匠の身のまわりの世話に加え、寄席の裏方やあらゆる雑務をこなす。
<二ツ目>

師匠の世話などから解放され、自分で仕事を受けることや羽織の着用を許される(ここで一応一人前の噺家として認められます)
<真打>
寄席や落語界の主任(トリともいいます。番組の最後に話を語ることができます)を務め、師匠と呼ばれ弟子を取ることが許される。

<見習い>から<真打>になるには、最低10〜15年かかるといわれる厳しい道のりです。令和3年現在、東京では約800人、上方では約200人の噺家が活動しているといわれています。

※上方でも、かつては「真打制度」がありましたが、現在は廃止されています。

噺家の亭号(流派) 知っておきたい!落語のキホン

前座になると、師匠から高座名が与えられます。「〇〇亭□□□」といった形が基本ですが、この「〇〇亭」を亭号といい、噺家の系譜と流派を表します。
東京では<三遊派:三遊亭・橘家・古今亭・金原亭など>、<柳派:柳亭・柳家・春風亭・入船亭など>の二つの大きなグループです。(他にも、三笑亭・林家・桂などがあります)。
大まかではありますが、人情噺の<三遊派>、滑稽話の<柳派>と呼ばれることが多いようです。

※桂は上方発祥ですが、現在は上方・東京双方で名のだれています(林家も同様ですが、こちらは江戸発祥です)。桂に並ぶ上方の亭号は笑福亭です。
※東京では、落語協会、落語芸術協会、五代目圓楽一門会、落語立川流の4団体、上方には上方落語協会があり、落語家は基本的にそれらの団体に所属しています。

「どこでも落語プレーヤー 東京落語会傑作選」付録「どこでも落語ハンドブック」より一部抜粋。

いかがでしたか?
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