“このオーディオのため”の音をつくりました。

「美空ひばりオーディオ」は日本コロムビアの110周年記念として企画されました。まず、このオーディオの音は「聴いていて疲れない音」というのが一番の印象です。デジタル音源にありがちな耳障りな部分がなく、高音と低音が上手に出ているんです。「こんなにきれいに鳴るんだ」って驚きでした。

内蔵の美空ひばりさんの歌唱音源は、100曲すべてをこの「美空ひばりオーディオ」のために、元の音源からマスタリング（音質調整）を行いました。オーディオにはそれぞれ味やクセがあるので、今回は“このオーディオで”いい音が鳴るように、ということですね。オーディオ専用にマスタリングを行う機会はあまり多くないので、贅沢なオーディオに仕上がったと思っています。

美空ひばりさんは、日本コロムビアの、というだけでなく日本を代表する不世出の歌手だけにマスタリングにも力が入り、スタジオに籠る時間も多かったですが（笑）、その分、ひばりさんの魅力がこのオーディオでより感じられる、いい音になりました。
最高の内蔵音源をご堪能いただけると思います。

日本コロムビア株式会社
マスタリングエンジニア 宇野勝昭氏

株式会社 太知ホールディングス
商品企画部 池田壽一氏

日本コロムビア、DENONなど有名メーカーで長く音響機器製造に携わり、現在はアナバスオーディオの企画責任者を務める。

30年分の思いがひとつにまとまりました。

私は前から「小さくていい音がするもの」を作れないかってずっと考えていたんですよ。格好よくて、音もよくて、大人が「いい！」と思うものをね。

これは、何度も試作を重ねて、一切の妥協をせずに、いいものができました。縦型のスタイルや木目調のデザインはもちろん、部品（アンプ、スピーカー）にもこだわって贅沢なものを使っています。設計もそうです。スピーカーの向きは真横ではなく、音が聴く人の方へ向かうように、7.2度の角度をつけてあるんです。これが木工屋さんに嫌われてね（笑）。工程は増えるし、部品も余計にいるし、手間もお金もかかると。でもその甲斐あって、音の印象がぐっとよくなりました。

このオーディオはどんな部屋で聴いてもいい音がします。自分の生活の中に音楽がいつもあるっていいじゃないですか。ゆったりとした大人の時間って言うんですかね。30年分の思いがひとつにまとまりました。

※「美空ひばりオーディオ」の元となる「アナバスオーディオ」設計時のインタビューを掲載しています。