第1巻朗読：紺野美沙子

紺野美沙子さんはとても丁寧な語り口で読み上げてくださいます。聞きやすく、それでいて表現力豊かな朗読が文学の世界にいざないます。

『ヴィヨンの妻』太宰治

健気で力強い妻の、広大な愛…。
ある晩「さっちゃん」の夫・大谷が、小料理屋の夫婦から売り上げの金を盗んで帰ってきた。大谷を追って家までやってきた夫婦の話によると、大谷は金を盗んだばかりでなく、三年間一銭も払わずに店の酒を飲んでいるのだと言う。そこでさっちゃんは、今までの夫の借金を返すため、夫婦の店「椿屋」で働くことを決める。収録時間：73分49秒

第2巻朗読：三上博史

時には迫真の朗読、時にはゆったりとぬくもりのある声で…。三上博史さんの多彩な朗読は聞き応えも十分、名作の感動をより深く味わうことができます。

『藪の中』芥川龍之介

嘘はどれか、真実とは何か。
藪の中で起きたある殺人事件。木樵り、旅法師、老女らの証言によれば、死んだのは若狭国府の金沢武弘という侍で、一緒にいたのは妻の真砂、そして下手人は「多襄丸」という盗人だという。しかしその三人の告白は、どれも食い違っていて筋が通らない…。収録時間：43分54秒

『仙人』芥川龍之介

「信じる」ということの真意とは。
大阪の街へ奉公にやってきた権助は、仙人になりたいと強く望んでいた。そこで仙人になれる奉公口を探していると、ある医者女房が「うちで二十年間奉公すれば、仙人にしてみせる」と申し出た。それは狡猾な女房が、権助に無給で働かせるための嘘だったが、権助はそれを信じてまじめに勤め上げ…。収録時間：13分23秒

『雨ニモマケズ』宮沢賢治

賢治の願い、祈り。
「雨ニモマケズ」は賢治の没後、彼が愛用していた鞄から偶然見つかった手帳に記されていたメモ書きである。三十七歳という若さでこの世を去った賢治のこの詩に込められた思いは、今でもなお現代に生きる私たちの心を、とらえて離さない。収録時間：2分50秒

第3巻朗読：渡辺篤史

渡辺篤史さんは、耳に心地よいリズミカルな朗読で、作品の魅力を一層引き出してくださいます。まるで、目の前に美しい景色が浮かび上がってくるようです。

『舞姫』森鷗外

切なく、悲しい恋物語。
若きエリート官僚の太田豊太郎は、留学のためドイツに来ていた。ある日豊太郎は、エリスという美しい踊り子の少女と出会う。留学仲間に陥れられ、免職になってしまった豊太郎は、ますますエリスとの情愛を深くしていくが、二人の恋には悲しい運命が待ちうけていた。収録時間：68分12秒

第4巻朗読：大和田伸也

大和田伸也さんは、深みのある印象的な声の持ち主です。 自在に声をあやつり、より味わい深く朗読してくださいます。

『夢十夜』夏目漱石

どこからが夢で、どこからが現実なのか。
漱石の夢の世界が十夜=十話分つづられている連作短篇集。涙を誘われる話、思わずドキリとする話、ちょっと笑ってしまう話…さまざまな夢の世界が広がります。収録時間：69分49秒